ハーネス使用に対応しているバートル空調服の選び方について
高所での作業には転落防止のハーネスが不可欠ですが、構造上、空調服との相性は良くないのも事実です。一方でハーネスの使用に対応している空調服も販売されているので、安全性と快適な着心地を両立させるのは不可能ではありません。
ここではハーネスと空調服の相性が良くない理由やバートルのハーネス対応型空調服についてお伝えします。
ハーネスは安全帯とも呼ばれる、高所からの転落を防ぐことを目的とした器具です。古くから高所での作業には転落の危険が伴っていたため、体を支えるための命綱が使われていました。しかし、体に直接巻き付ける命綱は転落を防ぐことはできても宙吊りになった際に生じる強い衝撃がそのまま体に伝わってしまうため、地面に落ちた時とほぼ変わらないダメージを受けてしまうことも珍しくなかったのです。
時代が進むにつれて命綱の構造も高度になり、体への負担が大きく減少したハーネスが主流になりました。高所から転落して宙吊りになっても衝撃がハーネス全体に分散され、致命的なダメージを受けるおそれがなくなったのです。
日本では2022年に高さ6.75メートルを超える高所での作業においてフルハーネスの使用が必須になりました。両方の肩や太もも、腰にベルトを回すことで宙吊りになった際の衝撃を分散するのがフルハーネスの仕組みですが、体を締め付ける形になるので空調服との相性は良くありません。
空調服は衣服の内部に風を送って空気の層を作り、外気の熱を遮る仕組みです。空調服全体が空気の層で万遍なく膨らんでいる状態になって初めて、高い遮熱性を持たせることができます。しかし、空調服の上からフルハーネスを使うと部分ごとにベルトで空気の流れが遮られてしまい、全身に空気の層が形成されません。
結果、空調服の特性である遮熱性が損なわれてしまうのです。
ハーネスを使うことで空気の層が形成されにくくなりますが、これは空調服の上からハーネスを使う形になるためです。ハーネスを使ってから空調服を着ると空気の層はしっかりと作られるように思えますが、実際はハーネスと命綱を結ぶための穴を設ける必要があるため、空気が漏れてしまいます。
そのため、一般的な空調服はハーネスと一緒に使うことができません。
高温の環境でも快適に作業を行いつつ、ハーネスで安全を確保するにはハーネス対応の空調服を選ぶ必要があります。ハーネス対応の空調服は命綱を通すための穴が設けられていますが、この穴から空気が漏れることはありません。
ハーネスを使いつつ、遮熱性を持つ空気の層を形成できるので高所でも暑さを気にせず働くことができます。ハーネス対応型の空調服にはフックを引っかけるための金具であるDカンが付いている物もあります。工具をぶら下げるのに適しているので、手を塞がずに高所を移動することが可能です。
ひと口に空調服と言ってもデザインや機能性は様々ですが、ハーネス対応型の空調服は命綱を通す穴とDカンが付いている物を選べば間違いはないと言えるでしょう。ハーネス対応型の空調服は一般的な空調服よりやや割高ですが、ハーネスを使用できる利便性を考えれば決して高額とは言い切れません。
作業服メーカーのバートルはエアークラフトの名称で空調服を販売しています。作業服に求められる頑丈な作りを保ちつつ、ファッショナブルなデザインに仕上げているのが大きな特徴です。また、女性用作業服を手掛けたメーカーとしても知られ、現在に至るまで年代や性別を問わず多くの人に支持されています。
バートルの空調服もハーネス対応型の製品があるので、用途に応じて選ぶことが可能です。AC1186は綿100パーセントの生地で作られた、バートルの基本的な空調服と言える製品です。
命綱を通す穴とフックを引っかける金具のカラビナを装着できるループが備わっている、ハーネス対応空調服のスタンダードモデルになっています。綿生地は作りが頑丈なだけではなく熱にも強いので溶接など火気が生じる作業に最適です。
もちろん、バートルならではのおしゃれなデザインに仕上がっているのでアウトドアウェアなど仕事以外の用途で着ることもできます。
AC1154は空調服には珍しい、袖がないベストタイプの作りです。また、生地には高い遮熱性を持つアルミコーティング加工が施されているので、ファンを回すことによって一般的な空調服以上に快適な状態を保つことができます。
ヘルメットの上から被せることができるフードを使うことで胴体だけではなく頭部にも遮熱性を持たせることが可能です。デザインもスタイリッシュなのでおしゃれを楽しみながら働くのに適しています。
空調服は取り付けられているファンを回して風を衣服の中に送り込む仕組みですが、汚れた際は一般的な衣服と同様に洗濯機で洗う必要があります。バートルの製品も洗濯が可能ですが、その際はファンやバッテリーなどの電子機器を取り外し、水濡れによる事故を防ぐ必要があります。
ファンの着脱は難しくありませんが、生地の材質や乾かし方によっては縮みが生じてしまい、ファンとの接続部分にすき間が生じるおそれがあるので注意が必要です。バートルのファンは防水加工が施されているので水滴程度の水濡れなら問題はありません。
しかし、完全に水没させると故障してしまうので、空調服を洗う際は電子機器の取り外しを忘れてはいけません。
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空調服は空気の層を保つことで外気の熱を遮る効果が得られます。生地にわずかでも穴が生じるとそこから空気が漏れてしまい、遮熱性を保つことができません。生地を当てて傷んだ部分を塞ぐ方法もありますが、それでも生地を重ねた部分にすき間が生じ、そこから新たな漏れが生じてしまうのです。
ハーネス対応型の空調服は金具が当たる部分の摩耗が激しく、空気漏れが発生しやすいと言えます。命綱を通す穴も負担がかかりやすいので購入の際は頑丈な生地の空調服を選ぶのが賢明でしょう。
高所作業での使用が必須なハーネスは構造上、空調服との相性は良くありません。暑さを遮断できる空調服を着る場合はハーネス対応型の製品を選ぶ必要があります。おしゃれなデザインで知られているバートルの空調服にはハーネス対応型の物もあるので、デザインや生地の材質を比較して選ぶことが可能です。
ハーネスによる安全の確保と快適な着心地を両立させた空調服は高所作業に最適な一着と言えるでしょう。